ドロップは、救済を受けるときに、球を手から落として新しい位置からプレーするための方法です。2019年の規則改正で、腕を伸ばして肩の高さから落とす方法から、立ったときの膝の高さから真下に落とす方法に変わりました(規則14.3b)。落とした球は「救済エリア」の中に止まらなければならず、2回続けて外に出たときは、2回目に地面に触れた箇所に球を置きます。
ドロップが必要になる主な場面
ドロップは、罰なしの救済でも罰ありの救済でも使います。場面ごとに、測り始める位置(基点)と救済エリアの大きさが決まっています。
| 場面 | 罰 | 基点 | 救済エリア |
|---|---|---|---|
| カート道・修理地・一時的な水など(ジェネラルエリアの異常なコース状態、規則16.1) | なし | 完全な救済のニヤレストポイント | 1クラブレングス |
| 地面にくい込んだ球(ジェネラルエリア、規則16.3) | なし | 球のすぐ後ろの箇所 | 1クラブレングス |
| アンプレヤブルのラテラル救済(規則19.2c) | 1打 | 球のあった箇所 | 2クラブレングス |
| レッドペナルティーエリアのラテラル救済(規則17.1d(3)) | 1打 | 球が縁を最後に横切った地点 | 2クラブレングス |
| 後方線上の救済(規則17.1d(2)、19.2b) | 1打 | 線上にドロップした球が最初に地面に触れた箇所 | 1クラブレングス |
どの場合も、救済エリアは基点よりホールに近づいてはいけません。一方で、パッティンググリーン上の救済はドロップではなく、球を置く「プレース」で行います(規則16.1d)。マークして拾い上げた球を元の位置に戻すのも「リプレース」で、ドロップとは別の手順です。
正しいドロップの3つの条件
規則14.3bでは、正しい方法でのドロップを次のように決めています。
- プレーヤー本人が落とす。キャディや同伴者が代わりに落とすことはできません。
- 膝の高さから、真下に落とす。投げたり、回転をかけたり、転がしたりしてはいけません。球が地面に落ちる前に、自分の体や用具に触れないようにします。「膝の高さ」は真っすぐ立ったときの膝の高さで、ドロップするときに立った姿勢である必要はありません。
- 救済エリアの中に落とす。プレーヤー自身は救済エリアの中に立っても外に立ってもかまいません。
肩の高さから落とすのは、2018年までのやり方です。習慣で肩の高さから落としてしまうと、いまの規則では「誤った方法」のドロップになります。腰の高さなど、膝より高い位置から落とすのも同じです。
誤った方法で落としたとき
- 打つ前に気づけば、罰なしで正しい方法でやり直します。やり直しの回数に制限はありません。誤った方法で落とした回は、後で説明する「2回のドロップ」には数えません。
- やり直さずに打ってしまった場合、球が救済エリアの中にあれば1打罰です。救済エリアの外から打った場合は誤所からのプレーになり、一般の罰(ストロークプレーでは2打罰)を受けます。
救済エリアとクラブレングスの測り方
クラブレングスは、その日に持っているクラブのうち、パターを除いて最も長いクラブの長さです。たいていはドライバーになります。2018年までは好きなクラブで測ってよかったので、ここも変わった点です。
- 基点にティーを刺して目印にする。
- そこからクラブを地面に置き、1クラブレングス(または2クラブレングス)の範囲を確かめる。範囲の端にもティーを刺しておくと分かりやすい。
- ホールに近づかない側で、同じコースエリア(例えばジェネラルエリア)の中を選ぶ。罰なしの救済では、障害から完全に離れられる範囲であることも条件です。
- 範囲の中に、膝の高さから球を落とす。
完全な救済のニヤレストポイントの決め方
カート道などから罰なしの救済を受けるときは、まず「完全な救済のニヤレストポイント」を決めます。球をそこに置けば、障害がスタンスにもスイングにも及ばなくなる、元の球に最も近く、ホールに近づかない箇所のことです。
よくある勘違いは「カート道なら、好きな側に出してよい」というものです。実際は、球だけでなくスタンスまで道から外れる位置のうち、元の球に最も近い箇所が基点になります。右打ちと左打ちでは立つ位置が逆になるので、同じ場所にある球でも、基点が道の左右どちらになるかは人によって違います。基点が打ちにくいラフや木の近くになっても、それに従います。
決め方は、その場所で使うつもりのクラブを持って、障害がなくなる位置でアドレスの形を取り、球を置くことになる箇所にティーを刺す、という手順が分かりやすいでしょう。
ドロップした球が救済エリアから出たとき
規則14.3cでは、正しく落とした球が救済エリアの中に止まれば救済は完了です。外に出たときは次のように進めます。
- 1回目に救済エリアの外に出たら、2回目のドロップをする。
- 2回目も外に出たら、2回目に落とした球が最初に地面に触れた箇所に、球を置く(プレース)。
- 置いた球が止まらなければ、もう一度同じ箇所に置く。それでも止まらなければ、止まる最も近い箇所に置く(救済エリアの外になることもある)。
2018年までは「2クラブレングス以上転がった」「ホールに近づいた」など、転がり方で再ドロップを判断していました。いまは救済エリアの中か外かだけで判断するので、迷うことが少なくなりました。地面に落ちた後に自分の足や用具に当たって止まっても、救済エリアの中なら罰なしで、そのまま打ちます。
後方線上の救済のドロップは2023年に変わった
ペナルティーエリアやアンプレヤブルの後方線上の救済は、2023年版の規則で手順が変わりました。いまは、ホールと基点を結んだ線の後ろ側で、線の上に球を落とします。球が最初に地面に触れた箇所から、どの方向にも1クラブレングスが救済エリアになり、その中に止まれば完了です(ホールに近づかないことが条件)。線からわずかに外れて止まっても問題ありません。
英語での言い方
- 「ここでドロップできますか?」→ “Can I take a drop here?”
- 「ニヤレストポイントはどこですか?」→ “Where is my nearest point of relief?”
- 「罰なしの救済」→ “free relief”、「1打罰」→ “a one-stroke penalty”
- 「ドロップゾーン」→ “drop zone”。池の近くなどに特設されたドロップの場所で、ローカルルールで決められます。
海外のゴルフ場でも、膝の高さのドロップは同じです。キャディ付きのゴルフ場ではキャディがティーで基点を示してくれることがありますが、ドロップ自体は自分でします。ドロップが必要になる代表的な場面はアンプレヤブルとペナルティエリアの記事、カート道まわりの決まりはカートの90度ルールの記事も参考にしてください。